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キャロル/鏡の国のアリス
評価:★★☆☆☆
訳:矢川澄子
出版社:新潮社(新潮文庫)
「不思議の国~」より緻密な構成で、やや大人びたアリスの行動に好感が持てるとはいえ、やはりこのシュールな物語に入り込むのは難しい。自分の感受性が希薄になってしまったのか、それとも物語自体が観念的過ぎるのかわからないが、アリスの冒険になかなか追いつけない。
和田竜/のぼうの城
評価:★★★★☆
出版社:小学館(小学館文庫)
百姓からも軽んじられる城代・成田長親のキャラクター設定は、これまでの時代小説のヒーロー像とは一線を画しており、それがこの小説の最大の魅力だろう。結局最後まで「のぼう様」の本心が描かれない所もミステリアスかつ爽快だったりする。
リリー・フランキー/東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
評価:★★☆☆☆
出版社:新潮社(新潮文庫)
マザコン小説と評するのは極端かも知れないが、母親との想い出だったり、愛しい人の死だったり、そういったものは誰もが経験することだ。ことさらそこに感動を与えようとしても、あまりに一般的過ぎて涙すら出ない。この小説はリリーとオカンとその周りにいる人だけのための物語でしかなく、我々がそこに価値を見出す何か、というものは決定的にない。
真藤順丈/庵堂三兄弟の聖職
評価:★★☆☆☆
出版社:角川書店(角川ホラー文庫)
「遺工師」というアイデアが全てで、物語としての緻密さもなく、グロテスクな描写も乏しい。村上春樹的とも言える比喩の多さと、そつのない文体のせいで、せっかくの奇抜な設定が薄っぺらい青春小説になり下がっている。
チャンドラー/ロング・グッドバイ
評価:★★★☆☆
訳:村上春樹
出版社:早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)
丁寧な翻訳のおかげで読み応えのある作品ではあるが、いささか重厚過ぎる感もある。村上が言う巧みな細部の描写も、ある点においては冗長ですらある。ロマンチストなマーロウの語り口に背筋が凍るような気持ち悪さを感じるが、全体的な展開は整然としており、ラストのインパクトも強い。