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吉本隆明/共同幻想論
評価:★★☆☆☆
出版社:角川書店(角川ソフィア文庫)
「共同幻想」という概念をひたすら当て嵌めていくことに固執し、もちろんそれはある側面では正確なのかも知れないが、その概念一つで全てが丸く収まるわけがない。例えば「遠野物語」や「古事記」を元に展開する民俗学批評も、それを言ったら身も蓋もないんじゃないか、ということを「共同幻想」で蔑ろにする姿勢はどうかと思う。
吉川尚宏/ガラパゴス化する日本
評価:★☆☆☆☆
出版社:講談社(講談社現代新書)
データの比較が下手過ぎるのと、具体性を帯びない論考のせいで、「ガラパゴス化」が全くイメージできない。勝手な偏見と推論の後、突拍子もない結論へと辿り着くまで、笑いを噛み殺すのを我慢しなければならない。
鈴木謙介/カーニヴァル化する社会
評価:★☆☆☆☆
出版社:講談社(講談社現代新書)
章ごとの関連性の弱さ、援用に頼った理論展開。結局「カーニヴァル化する社会」とは何か、どういった問題を提起し結論付けたいのか、論旨の縦糸・横糸のどちらも定まっていないので、内容の薄い評論となっている。私たちの生活と直結する社会学を語るには、経験の浅い著者なのだろうなと思う。
大塚英志/定本 物語消費論
評価:★★☆☆☆
出版社:角川書店(角川文庫)
「ビックリマンシール」をポストモダンの出発点にするのはいささか的外れな気もするが、「物語マーケティング」に関する指摘は現在のケータイ小説文化や、過剰なメディアミックスを予言しているようにも思える。民俗学的に都市伝説を考察する視点は面白いが、若き大塚の思想のブレも見えてくる。