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森山が撮ると民俗学の象徴とも言える遠野ですら「都市」になってしまう気がする。「ふるさと」無き彼が遠野に拘る理由はわからなくはないが、「ふるさと」無き視点が森山の写真の根源であると思うので、いささかコンフリクトな印象がある。
昭和初期の日本ですら谷崎が追い求めた「陰翳」が失われつつあるというのに、現代ではもはや何処にも見当たらず、まさに「陰って(翳って)」しまったというのも皮肉な話ではないか。節電ブームの現代において、本質的な解答を示してくれているような気がする。
村上龍/無趣味のすすめ
評価:★★★☆☆
出版社:幻冬舎(幻冬舎文庫)
村上龍の文章スタイルは、物事をひたすら観察し、正確な描写を重ねるといった方法論を採っている。それはエッセイでも共通していて、あらゆる事象を正面から凝視し、身も蓋もないくらい徹底的にメスを入れていく。それによって誰もが納得していない事実の本質を暴き、それでもサヴァイヴしていくノウハウを提示してくれる。
荒木陽子・荒木経惟/東京日和
評価:★★★☆☆
出版社:ポプラ社(ポプラ文庫)
荒木の妻に対する至上の愛は、尊敬に値するものだと思う。むしろ、こっちが恥ずかしくなるくらい、夫婦は夫婦以上の関係としてある。荒木は喪失感を写真に込めたわけではない。死んだ妻との濃密なまでの対話を、写真を通して試みる。その純粋な感情がひしひしと伝わって胸が痛くなってくる。