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快天BOOKS

2024.05.05 Sun 
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2011.10.30 Sun  小説(国内作家)
安部公房/砂の女安部公房/砂の女

評価:★★★
出版社:(文庫)

「砂に埋もれる家に住む女」という一つのアイデアを壮大なサスペンスに仕立て上げ、人間の本質を抉り取る。物語が進むにつれ主人公は観念的になっていき、諦念と反発と愛欲がごちゃ混ぜになった感情に狂わされていく。短編でも充分なのに、しつこく精緻に描き込んだおかげで、この作品は稀有なものになった。

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2011.10.30 Sun  小説(国内作家)
江戸川乱歩/江戸川乱歩ベストセレクション⑧蜘蛛男江戸川乱歩/江戸川乱歩ベストセレクション⑧蜘蛛男

評価:★★★
出版社:角川書店(角川ホラー文庫)

前半の推理劇が後半で逆転するという奇想天外な構成でありながら、そこにこそミステリーとしての巧さがある。また、蜘蛛男の不気味さ・猟奇さ、そして明智をも上回る頭の回転の早さ。稀代のキャラクター造形がサスペンス性を強め、乱歩作品の中でも特別なものに成り得たのだろう。

2011.10.30 Sun  小説(国内作家)
和田竜/小太郎の左腕和田竜/小太郎の左腕

評価:★★★☆☆
出版社:小学館(小学館文庫)

前2作と比べてよりフィクション性が増し、パワーバランスを無視した小太郎の能力のせいで、戦闘シーンに迫力がない。各キャラクターが魅力的なので、なんとかテンションは保てているが、すっきりしないラストも残念だ。

2011.10.30 Sun  小説(国内作家)
和田竜/忍びの国和田竜/忍びの国

評価:★★★
出版社:新潮社(新潮文庫)

少しの史実とオリジナリティ溢れるフィクション部分の兼ね合いが上手い。伊賀忍者達の荒唐無稽とも思える忍術も、アクションや駆け引きの材料として自然な感じがする。ともかくスピード感があり、残酷なまでの戦闘シーンも痛快。エンターテインメントとしての歴史小説の在り様を示した。

2011.08.11 Thu  小説(国内作家)
梶井基次郎/檸檬梶井基次郎/檸檬

評価:★★★☆☆
出版社:新潮社(新潮文庫)

梶井文学を頽廃文学の一つとして肯定的に規定するか、ただただ病的とするかは其々だが、少なくとも「檸檬」以外の多くの短編には病的な空気感というのが確かにあるように思う。ただ「檸檬」の短編としての文化的価値はやはり計り知れない。いわば短編の「正解」というか、これ以上もこれ以下もない短編としての完成系がそこにある。