エリオット/荒地
評価:★★☆☆☆
訳:岩崎宗治
出版社:岩波書店(岩波文庫)
そもそもエリオットの詩は難解だが、膨大な注釈(文庫本の三分の二を占める)のせいで、より小難しく思えてくる。ダンテやシェイクスピア、ボードレールなどの引用・隠喩が散りばめられているので、そういった予備知識も必須となる。そこに詩の究極的な文学性を見出すか、ただ不親切さ・難解さを感じるかはそれぞれだが、少なくとも力強い言葉ではある。
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ブレイク/対訳 ブレイク詩集
評価:
★★★☆☆
訳:松島正一
出版社:岩波書店(岩波文庫)
ブレイクの詩は全体的に神話的だが、決して宗教的ではない。キリスト教からの深い影響が根底にあるが、ブレイクは宗教性そのものを甘受しているわけではないと思う。彼の幻視性は極めて叙情的であるが、現実的・メタ社会的な視線の裏返しでもある。
萩原朔太郎/猫町 他十七篇
評価:
★★★☆☆
出版社:
岩波書店(岩波文庫)
頭から爪先まで徹底的に詩人である朔太郎の感性に痺れる。例えば鉄筋コンクリートを虫だと捉える無邪気さ、群集の中にこそ居場所を見出す孤独感、イメージを現実に置き換える想像力、そういった詩人の要素の全ては朔太郎の中にこそある。表題作「猫町」におけるファンタジー性も面白いが、彼の散文詩の幾つかには感動で涙が止まらなかった。