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快天BOOKS

2024.05.05 Sun 
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2011.01.12 Wed  詩集

Eliot, Thomas Stearns/荒地エリオット/荒地

評価:★★☆☆☆
訳:岩崎宗治
出版社:岩波書店(岩波文庫)

そもそもエリオットの詩は難解だが、膨大な注釈(文庫本の三分の二を占める)のせいで、より小難しく思えてくる。ダンテやシェイクスピア、ボードレールなどの引用・隠喩が散りばめられているので、そういった予備知識も必須となる。そこに詩の究極的な文学性を見出すか、ただ不親切さ・難解さを感じるかはそれぞれだが、少なくとも力強い言葉ではある。

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2010.07.01 Thu  詩集
Blake, William/対訳 ブレイク詩集ブレイク/対訳 ブレイク詩集

評価:★★★☆☆
訳:松島正一
出版社:岩波書店(岩波文庫)

ブレイクの詩は全体的に神話的だが、決して宗教的ではない。キリスト教からの深い影響が根底にあるが、ブレイクは宗教性そのものを甘受しているわけではないと思う。彼の幻視性は極めて叙情的であるが、現実的・メタ社会的な視線の裏返しでもある。
2009.02.14 Sat  詩集
萩原朔太郎/猫町 他十七篇萩原朔太郎/猫町 他十七篇

評価:★★★☆☆
出版社:岩波書店(岩波文庫)

頭から爪先まで徹底的に詩人である朔太郎の感性に痺れる。例えば鉄筋コンクリートを虫だと捉える無邪気さ、群集の中にこそ居場所を見出す孤独感、イメージを現実に置き換える想像力、そういった詩人の要素の全ては朔太郎の中にこそある。表題作「猫町」におけるファンタジー性も面白いが、彼の散文詩の幾つかには感動で涙が止まらなかった。
2009.02.14 Sat  詩集
灰根子/カミキレ灰根子/カミキレ

評価:★★★☆☆
出版社:新風舎

「カミキレ」という言葉は「神切れ」と変換すべきであろうか。「神からの脱却」=「神的なものへの拒否」へと繋がり、それは世界や個人への否定にも結びついていく。むしろ、世界や個人への拒否・否定というのが最初にあって、神や天使といった存在はそのメタファー以上にはならない。そこには宗教的なニオイもないし、無神論的な糾弾があるわけでもない。あくまで私的な視点からの詩が表出している。重苦しいテーマやイメージがあるリズムに縛られることで、詩そのものを読みやすくさせ、それによって読者に良い意味での違和感を与えているように思う。しかし、そのせいで一つ一つの作品に大きな印象を与えにくくさせてもいて、全体を読み終えないと何も見えてこない、といったある種の転倒が起こる。
2009.02.14 Sat  詩集
谷川俊太郎/二十億光年の孤独谷川俊太郎/二十億光年の孤独

評価:★★☆☆☆
出版社:集英社(集英社文庫)

谷川俊太郎が現代詩のフォーマットだとする風潮は、少なくとも今の詩壇の悪癖だと思う。全ての詩人は彼を否定するところから始めなければならないはずで、踏絵以上の価値を本書に見出だすべきではない。当然のことながら「巧い」のだが、美意識と自己批判・自己弁護を主体とした文体にわざとらしさを感じる。