東浩紀/ゲーム的リアリズムの誕生―動物化するポストモダン2
評価:
★★★☆☆
出版社:講談社
(講談社現代新書)
前著「動物化するポストモダン」の理論を下敷きにした物語論、とりわけライトノベルとノベルゲームの批評が行われているのだが、なんだか嘘臭い感じがする。「ゲーム的リアリズム」などの新たに名付けられたいくつかの読解は、自然主義文学より低俗な(と一般的に認識されている)物語を批評の領域に押し上げるためのエクスキューズにも見えてくる。東はサブカルチャーに近い場所に長居し過ぎてしまっていて、決してその本質を暴いたわけではないし、ポストモダン文学の指標にはなったとしても、肝心な批評は今後も体系づけられないのではないかと思う。
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