柄谷行人/日本近代文学の起源
評価:
★★★★☆
出版社:講談社
(講談社文芸文庫)
我々が自然なもの、自明なものとして感じている多くのものが、実は自然でも自明でもないことを「日本近代文学」を基盤に据えて暴いている。例えば「風景」を美しいと感じるのは、「風景」に対する認識を後天的に植えつけられているからだ、というようなことを言っている。そういった認識の転倒が歴史的に培われてきたが為に、「風景」を見ることができる、あるいは感動したりすることができる、としている。認識の転倒が我々を蝕んでいるのは明らかで、本書によって改めて自分の認識を疑うことができ、それによって物事を再認識できるという意味で、かなり良質な本だと思う。
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