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ピンチョン/競売ナンバー49の叫び
評価:★★☆☆☆
訳:志村正雄
出版社:筑摩書房(ちくま文庫)
回りくどく難解な文体は、物語の骨子を見えにくくする。どこまでが現実で、どこまでが仕組まれたことなのか判然としない。ストーリーの全体像を把握するのは困難だが、それこそがこの作品の狙いでもあり、読者は主人公と共に謎めいた出来事に翻弄されていく。引用・比喩・言語トリックの多用により付された解説を読むだけで疲弊してしまうのは厄介だが、決定的なエンディングのない不思議なラストは、ふわふわとした読後感を与えてくれた。