本多孝好/MISSING
評価:
★★★★☆
出版社:双葉社(双葉文庫)
物語だけを取り出すと、そこに新鮮な雰囲気はないかも知れない。心を打たれるのは、構成が巧みだからだろう。五つの短編が収められていて、それぞれのストーリーが切なく進んでいくわけだが、小さな小さなトリック・謎を潜ませている。主人公となる人物が看破あるいは推理すればするほど、その切なさは広がっていくのだ。「祈灯」「瑠璃」など、人間の醜さとその苦悩、あるいは欲望と自己批判のジレンマを体現する。「MISSING」というタイトルが読者に迫ってくるようだ。
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