森山大道/犬の記憶
評価:
★★☆☆☆
出版社:
河出書房新社(河出文庫)
森山の文章には、彼が撮り続ける写真と同様のパワーと描写と難解さがある。そこに森山の写真家としてのアイデンティティが見えてくる。例え文章であっても、彼が表現しているのはあくまで写真であり、いつだってシャッターを切っているのだ。自分の中で論理的に、あるいは突発的に浮かんだ感情を、今まさに見えている風景に投影して記録する。そのツールが言葉であるか写真であるかの違いしかない。「ふるさと」を持たない森山だからこそ、あらゆる場所が「ふるさと」になる。そこで邂逅した様々な人や風景、そして自分自身の葛藤や衝動についても書かれている。
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