金原ひとみ/蛇にピアス
評価:
★★★☆☆
出版社:集英社(集英社文庫)
若い女性だからこそ持ち得る鋭い視線と、主人公の心情を語る上での正確な描写があり、確かに才能を感じさせる。しかし、決定的に表現力が足らず、芥川賞を与えるまでのレベルには達していないと思う。タトゥー、ピアッシング、スプリット・タンといった身体改造には、現代的な病理や差し迫った欲求があるわけではない。しかし、現代の若者だからこそ、ひしひしと肌を刺激する(実際的にも)「何か」が必要とされ、その必要性の本質は誰も把握していない。そういった不気味だが生々しい印象を持つ。
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