小川洋子/博士の愛した数式
評価:
★★★☆☆
出版社:新潮社
(新潮文庫)
小川洋子の文体はすっと頭に入ってくる自然なものだ。静謐な文章が心地良く、温かくも切ないストーリーに綺麗に収められている。数学には全く興味はないが、この物語のおかげで数学に多少の愛着を持つようになった。3人の交流をより深く描くためのエピソードが少な過ぎるし、ラストがあまりにすんなりと流れていってしまうために読後感も薄い。とはいえ、この物語においてはこれくらいの分量であることの方が成功なのかも知れないし、ハッピー・エンドであるからにはラストを軽くしなければならなかったのかも知れない。
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