石田衣良/うつくしい子ども
評価:
★★☆☆☆
出版社:
文藝春秋(文春文庫)
リアリティが希薄で、先の展開がある程度読めるため、ミステリーとしては落第点。ただ、少年が社会からの弾圧を受けつつも、しっかりと自分の意志を貫いていくという過程には、ジーンとくるものがある。そして、この物語は、少年犯罪というものに対する姿勢において、他のあらゆる作品よりも秀でているように思う。事件そのものの背景ではなく、少年に対する理解であるとか、マスコミや社会に対する異常性であるとか、そのあたりを上手く描けている。少年犯罪に初めてちゃんと向き合った小説として、評価しておきたい。
PR