バック/イリュージョン
評価:
★★★☆☆
訳:村上龍
出版社:集英社(集英社文庫)
寓話の中にバックの思想がとことん注ぎ込まれている。思想というよりは、バックが自然と獲得した「真実」なのかも知れない。例えば、小説の中で主人公はキリスト教に対して批判を述べるのだが、キリスト教徒にとっては冒涜であっても外部から見れば真実だったりするわけだ。大空から地上の全てを見下ろす飛行気乗りのバックだからこそ、説得力もある。ただ、村上龍の小説技法が押し出され、なんとなく「だいじょうぶマイ・フレンド」を思い出した。
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