ガルシア=マルケス/百年の孤独
評価:
★★★★★
訳:鼓直
出版社:新潮社
様々な人物が登場し、大小のエピソードが次々と紡がれ、百年という長い年月を緩やかに描いているにも関わらず、全く飽きさせない語り口には驚嘆せざるを得ない。マコンド崩壊までの間に多くの人間の命が生まれ、また失われていくことになるが、特に彼らの「死」の描写が巧みであるが故、物語が重厚かつ非現実的なヴェールに包まれていくように思う。ラテン・アメリカの歴史を母体にして、奇抜なアイデアやストーリーで彩るという手法により、神話性を持ちながら歴史性を持つという絶妙なバランスがある。同時に、それらは曖昧に混ぜ合わされるという不思議な構造をしている。
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