ドストエフスキー/罪と罰
評価:
★★★★★
訳:工藤精一郎
出版社:新潮社(新潮文庫)
今となっては珍しくもないテーマだが、ここまでヒリヒリと伝わってくる作品はそうないだろう。長い作品だが決して飽きさせない構成だし、様々な小説形式の魅力が詰まっている。この作品において「罪」と「罰」は同位に置かれていない。確かにラスコーリニコフは罪人として罰を受けるが、それは社会(読者)がそう捉えているだけであって、彼自身にとっては別物である。その確信犯的な矛盾が、この作品を比類なきものにしているのではないか。
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