森鷗外/ヰタ・セクスアリス
評価:
★★☆☆☆
出版社:新潮社(新潮文庫)
さすがに今となってはセンセーショナルなものではないが、鷗外自身をモデルとした男の性欲的生活を追っていくのは何か不思議な感じがする。鷗外の文体はとにかく端正で上品なので、「性欲」を主題にしていながら「禁欲的」な印象を持ってしまう。というより、いわゆる社会から孤立した主人公という図式が見える。つまり自然主義文学の形式でありながら、それとはまた別の方法論・意味を持たせているのは明らかで、文壇における鷗外の立場ともシンクロする。
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